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タイトル 日本型コーポレートガバナンス構築にむけてのトップマネジメント機能の課題
著作者
コード P-199804
カテゴリー 企画調査報告書
書籍カテゴリー 書籍/その他
発行年月 1998/06/01
価格(税込) 2,200円   (本体価格 2,000円)
在庫状況 品切れ
体 裁 A4判
ページ 110
概 要 日本型コーポレートガバナンス構築にむけて企業労使への提言
財団法人
社会経済生産性本部






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 労・使・学識3者で構成される財団法人
社会経済生産性本部(亀井正夫会長)では、97年12月から98年1月にかけて上場企業の取締役約5000人(常務以上の役付き取締役を除く)を対象に「トップマネジメント機能の革新とコーポレートガバナンスに関する調査」(回答者数718人)を行ない、その結果をもとに提言をとりまとめた。主な内容は以下の通りである。
I.日本型コーポレートガバナンスの構築の必要性
II.経営監視機能の回復・強化に向けての提言
1.経営トップのあるべき行動様式
1)
「情報開示」された風通しの良い企業風土づくり
2)
経営トップへの明解な業績評価制度の導入
2.取締役会の経営監視機能の回復・強化
1)
取締役会の実質的に議論可能な人数への削減
2)
役員の定年制・任期制の導入
3)
取締役会の経営意思決定・監視機能の強化
4)
社外取締役や外部有識者による経営諮問委員会等との連携
3.労働組合・中間管理職層の内部監視機能の強化
1)
労働組合の内部監視機能の強化
2)
中間管理職の内部監視機能の重視
I.日本型コーポレートガバナンスの構築の必要性
 昨今の一連の企業トップによる違法行為や不正は、取締役会・監査役会などによる経営コントロール機能やモニタリング機能が十全に働いていないことに大きく起因するものといえる。そのため近年、社外監査役導入や株主代表訴訟等の商法改革が進められている。またこれを受けて、各経済団体においても社外取締役・監査役の積極的な登用などを提言しているところである。しかし、こういった法的制度の整備や外部からの監視・監査機能強化も重要であるが、基本的にはそれぞれの企業において企業倫理の確立や経営の健全性確保という見地から実効性のあるコーポレートガバナンスの仕組みを自主的に検討・改革していくことが望ましい。
 それでは一体日本企業のコーポレートガバナンスはどうあるべきなのだろうか。今回の調査では回答者の6割強が、これからのコーポレートガバナンスの方向は「従業員重視と株主重視を両立させた日本的な仕組み」になると答えている。つまり、株主利益を最優先におく英米型アングロサクソン流のコーポレートガバナンスではなく、かといって従来の経営者によるセルフガバナンス的なものでもない。むしろ株主、顧客、従業員、労働組合などのステークホルダーとの緊張感のある協力関係によって真にグローバルスタンダードなコーポレートガバナンスを構築すること、すなわち国際的にみて理解可能な、透明性が高く健全なガバナンスシステムをつくりあげていくことが今求められているのである。そのためにもまず、企業内部の経営監視機能(取締
役会や労働組合等)の回復・強化が重要であり、これらが円滑に機能するような企業風土づくりが求められる。
II.経営監視機能の回復・強化にむけての提言
1.
経営トップのあるべき行動様式
1)「情報開示」された風通しの良い企業風土づくり
 今、企業の経営者に求められているのは「企業は誰のものか」ということの自らへの真摯な問いかけである。経営者は、その問いに答える形で企業の倫理規範を構築し、その体現者となるべく、自らを律しなくてはならない。その前提として企業経営者に求められるまず第一の行動様式は「情報開示(ディスクロージャー)」であり、今回の調査でも「ディスクロージャーをもっと積極的に進めよ」との回答が大多数であった。これはむしろ企業風土に関係する問題であり、風通しの良い組織へと変えていく姿勢を経営トップが示すことが必要である。
2)経営トップの明解な業績評価の仕組みづくり
 今回の調査で社長を評価する仕組みの必要性について聞いたところ、7割近くが「あからさまな評価は不要。業績が全てを物語る」と回答している。しかしながら、実際に業績結果に対する評価制度がないことは、経営執行責任の所在を不明確にしやすい。調査でも「社長自ら毎期ごとに目標管理を公表することを義務づけるとよい」という回答が25%あり、「情報開示」の面からも、経営トップの明解な業績評価の仕組みづくりが必要と考えられる。同時に、これと連動して業績に対する貢献度を役員報酬や賞与に反映できるような報酬制度(ストックオプション制度等)が併せて整備されることが望ましい。
2.取締役会の経営監視機能の回復・強化
今回の調査では、約8割が「取締役会の形骸化」を指摘している。しかし一方で、企業内部の経営監視機能として7割強が「社内取締役・監査役」に期待している結果になっており、いかに取締役会の機能を回復するかが重要となってくる。そのため以下のような改革の方向を提言する。
1)取締役会の実質的に議論可能な人数への削減
 取締役会の機能が実質的に形骸化しているひとつの問題は、日本企業の取締役は欧米に比べて多いことである。特に日本の場合、使用人兼務取締役が多いのが特徴であり取締役会で実質的な議論がなされにくい。今回の調査でも「取締役を少数に絞り込むことが有効」との回答が4割近くあり、実質的に取締役の職務に専念できるものに絞るなど人数削減を中心とした見直しが必要である。
2)役員の定年制・任期制の導入
 取締役会の人員が増える理由の一つとして、役員の定年制・任期制が導入が進んでいないことがあげられる。今回の調査では、5割近くが役員の定年制・任期制をともに導入する必要があると回答(どちらか一方は必要という回答も含めると9割近くになる)しており、役員の定年制・任期制の必要性を感じていることが伺える。こうした制度の導入は取締役会の若返りにもなり、取締役会の活性化策として積極的に導入・活用していくべきである。
3)取締役会の経営意思決定・監視機能の強化
 今回の調査では「取締役会の活性化方法」について、「執行役員を外して少人数で議論を深める」という回答が過半数を占めていた。また、米国型のコーポレートガバナンスにみられるような「執行役員と取締役会との機能分化は有効」とする意見も6割強となっている。そこからも伺えるように、現在取締役会が有している経営意思決定・監視機能と業務執行機能を明確に分離し、取締役会では経営意思決定および業務執行の監視機能を本務とするよう強化すべきである。
4)社外取締役や外部有識者による経営諮問委員会等との連携
 日本企業の取締役は、「社内昇進型」取締役が多く、それが取締役会の形骸化の要因となっている。すでに一部の企業で見られるように、社外取締役の登用や国内外の有識者からなるアドバイザリーボードのような経営諮問委員会を積極的に導入することは、外部からの経営監視機能の効果が期待できる。取締役会の活性化や透明性を高めるためにも、こうした外部の経営監視機能との緊張感ある連携をもつことが必要である。
3.労働組合・中間管理職層の内部監視機能の強化
1)
労働組合の内部監視機能の強化
 企業の経営監視機能として重要な存在の一つは労働組合である。今回の調査では内部監視機能として労働組合に期待するという回答は少数であるが、本来の労働組合の存在意義を考えると今こそ労働組合の経営監視機能を強化すべきであり、そのための仕組み作りが必要となろう。例えば、労使協議制の充実や社内監査役として労働組合幹部(あるいは従業員代表)をいれることで、経営の透明性を高めていくことも考えられる。
2)
中間管理職の内部監視機能の重視
 今回の調査では内部監視機能として「中間管理職」をあげている割合が最も高く4割あった。また、社長補佐機能として「中間管理職の勉強会を組織し、意見具申をルール化する」が6割強ともっとも多く、「中間管理職」層が経営参加することへの期待は大きい。しかし実際に中間管理職が内部監視機能を持つには、やはり徹底した「情報開示」が求められる。そのうえで、こうした中間管理職が社内(社外)監査役の監査スタッフとして情報のパイプ役になるなど内部監視として機能できる環境整備が求められる。


連絡先:(財)社会経済生産性本部
生産性研究所(担当:東狐)
〒150-8307
東京都渋谷区渋谷3-1-1
TEL03-3409-1137
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